よく耳にする「仕事は3年は続けろ」という言葉。
これを破って退職すると、ストレス耐性がないと思われて転職も不利になるという話を聞いたことがあります。
しかし、公務員試験においてはその法則は全く当てはまりません。
今回は、3年以内の転職が公務員試験で不利にならない理由を、民間企業から2年で県庁に転職した僕の視点からお伝えしたいと思います。
目次
-
公務員転職でまず買うべき参考書5選!受験ジャーナルは必要?時間がなくても大丈夫
僕は民間企業から県庁職員に転職をしました。 20代で公務員試験を受験したため、新卒と同じ筆記試験の受験です。 そこでネックになったのは、勉強時間が少ないこと。 大学生や働いていない人に比 ...
続きを見る
評価に面接官の感情は入らない
まず、公務員試験の面接は、普段は人事以外の部署で働いている職員も面接官となっています。
民間企業であれば、最後は役員面接や社長面接など、強力な意思決定をできる人物が面接を行うケースが多いです。
ですが、公務員の採用においてはそういった個人の感覚で合否を決定できるフェーズがありません。
基本的には決められた項目の点数を面接官が記入していく形で評価がなされます。
そのため、「前の会社をすぐ辞めているから、忍耐力がなさそう…」などという曖昧な印象は評価に反映されづらくなっています。
また、一人の面接官が評価する人数が多いことも、短期離職という事実がマイナスに働かないことに繋がっています。
例えば県庁では、数百人に及ぶ受験生を1日程度で面接しなければなりません。
当然、1日に10人以上は面接を担当することになるので、同じ面接官が担当する受験生の中に民間企業からの転職者は複数人いる可能性が高くなります。
そんな中で「むむっこいつ2年で企業を辞めてるからストレス耐性がないのでは…?」などと考えていたらキリがありません。
業界大手の優良企業に25歳程度で転職をするのは、難しい場合が多いはずです。
若手は新卒で優秀な人材を獲得し、中途採用は他社での実績を積んだ人材を求めているからです。
ですが、公務員の場合は20代で転職してくる人が珍しくない職場風土が出来上がっています。
面接会場も若くして転職してくる人がたくさん来る空間なので、離職した履歴書を見ても
「前の仕事がブラックだったのかな~かわいそうに」
くらいの感覚でしか見られず、マイナス評価をするような感情すら浮かばない場合がほとんどなので、安心していいと思います。
民間出身者の能力への期待
むしろ、民間企業を短期間でも経験していれば、その経験を役所で発揮してもらえないか期待される場合が多いと思います。
それは例えば以下のような内容です。
働き方改革のための民間の視点
昨今、役所界隈でよく使われる言葉が「民間の知恵」「経営感覚」など。
一方で、公務員の仕事については「縦割り行政」「お役所仕事」など悪口しか出てこないのが現状です。
そのため、自治体では民間企業ではどのように仕事を進めているのか、ということに視線が集まっています。
ただ、新卒で公務員になり、長年勤めてきた職員たちだけでは、それを知る由もありませんよね。
銀行だ不動産だといった専門分野ではなく、日常業務でどう意思決定をしていたか、ハンコを使って決裁していたかなど、業種に限らない働き方の面での新しい視点が求められています。
面接でもこうした側面で話せることがあれば、会社でのエピソードを使ってもいいかもしれません。
「民間企業にいた」というだけで、役所の仕事では武器になるし求められているのです。
専門的知識のある人材
また、役所の中でも特定の分野の知識や技能を持った人は貴重な存在です。
県庁などでも建築職や土木職などがありますが、実際にやる仕事は業者に委託をする作業だけです。
民間企業が持っている現場のノウハウは、役所の中にはないに等しいのが現実です。
そのため何が起こるかと言うと、前例のない契約を相手業界の言い値で行ってしまったり、業者に「無理だ」と言われると何も反論できなくなったりと、業者との交渉が困難な場面が生まれてきます。
最近であれば、行政のデジタル化が叫ばれており、今までにないシステムの契約などが必要になっています。
そんな中で、民間のエンジニア出身者やITコンサルからの転職者がいれば、こんなに心強いことはありません。
実際、僕の県庁でも業務改革や情報システムに関わる部門には、民間企業出身者が1/4くらいの割合で配置されています。
専門知識のある民間経験者の採用は、役所にとって重大なテーマとも言えるのです。
やむを得ない事情で転職してくる人の多さ
また、地方公務員であれば、前職を退職するのも仕方ないという状況で転職してきた人が多く在籍しています。
短期で離職していても、不審に思われるより前に「なにか事情があったのかな?」と思ってもらえる可能性があります。
家庭の事情
家庭の事情により、民間企業で働き続けるのが困難になった人も多くいます。
例えばこんな人
・親の介護で地元で暮らさなければならない
・子どもが出来て全国転勤が出来ない
・親が持っている土地に家を建てる
こういった理由で公務員になっている人は実はかなり多いです。
(もちろんその人たちも面接ではもっともらしい理由を言って入ってきていますが…)
もしも面接がフランクな雰囲気であれば、公務員でやりたい仕事の話に添えて、家庭の事情を話してみてもいいかもしれません。
逆に「それなら今後、公務員を辞めることはなさそうだ」と好印象につながります。
僕も全国転勤のない仕事に移りたかったことは、面接で正直に話しました。
前職の環境の悪さ
露骨にブラックだった職場からの転職者も役所内には多くいます。
これは面接などで話すのは難しいところです。
とはいえ、前職で何をしていたかを聞かれた際の答えでなんとなく伝わる部分はあると思います。
辛い業務を経験していると想像されれば、それは良い評価にもつながることがあります。
それは、役所のなかにも一部多忙を極める部署があるためです。
新卒で公務員に採用し、ほどほどの忙しさを経験した職員よりも、民間である程度忙しい業務を経験している人のほうが、今後忙しい業務をやらせても大丈夫と捉えられる場合があります。
(転職してきた身からするとたまったものではありませんが…)
学生とのトーク力の差でカバー可
色々と理由を挙げてきましたが、最後に言えるのは、すべてのデメリットは社会人経験で得たコミュニケーションスキルでひっくり返すことが簡単にできるということです。
公務員への転職の大きな特徴が、新卒の大学生と社会人経験者が同じ土俵で戦うということ。
ポイント
1年で辞めたことくらいどうってことない!
どうか自信をもって公務員試験を受験してください!